最近気になる大島紬とは

最近気になる大島紬とは

大島紬とは鹿児島県南方にある奄美大島の伝統工芸品で、高級着物の生地として広く知られています。
着物は明治時代に洋服が普及するまで着用されていた日本ならではの民族衣装で、全国各地に伝統工芸品として技術が継承されており、しっかりと手入れをしていれば母から娘、娘から孫へと何代にも亘って受け継いでいけることが大きな魅力です。
自分で着るのが難しく着付けが必要なことや、洋服に慣れていると帯が苦しいことなどハードルが高いイメージがあり現在では着る機会も少なくなっていますが、成人式や結婚式などの人生の節目には着物を選ぶ女性が多いのは、やはり日本人のDNAがそうさせているのでしょう。
ここでは「大島紬」の歴史や特徴についてご紹介します。

着物好きが憧れる大島紬とは

大島紬とは奄美大島を発祥の地とする織物で、「着物の女王」とも言われています。
イランの「ペルシャ絨毯」、フランスの「ゴブラン織」と並び「世界三大織物」にも数えられており、30以上の行程を経て生み出される生地は、1枚作り上げるのに半年から1年もの時間を要します。
その特徴は「泥」で染めることで、その独特の製法によって作られた絹100パーセントの生地はしなやかな肌触りでシワになりにくいという特徴があります。
中でも、織る前に先染めで糸を染めた手織りの平織りで、絣合わせをして織上げたものは「本場大島紬」と呼ばれ高級織物として和服を着る女性のステータスシンボルにもなっています。
奄美エリアに生息する植物の「テーチ木」の煎汁液と、鉄分を含む泥土で色付けされた生地は優雅な光沢が魅力で、独特の絣使いと先染め、製法などの違いによりおよそ84もの種類があります。
150年から200年着られる丈夫な織物と言われ、親子3代で受け継がれるなど世代を超えて愛用される着物好きが憧れる織物です。

大島紬発祥の奄美大島と大島紬の歴史

奄美大島の歴史の始まりは平安時代で、壇ノ浦の戦いで敗れた「平有盛」が島に流れ着き城を建てたと言い伝えられています。
その後は琉球王国、江戸時代には薩摩藩、太平洋戦争中は米軍の支配下となるなど複雑な運命を辿り、1953年12月に日本に復帰しました。
大島紬とはもともと自家用として島民が着用していた着物でしたが、1720年ごろには薩摩藩の藩主である島津氏にその価値を見出され、島民に「紬着用禁止令」を出し高級織物として上納品に定められました。
1877年ごろになると市場での取引が開始されるようになり、各地の品評会や物産会などで知名度が上がっていきます。
1975年に国の伝統的工芸品に指定されると70万を超える製品が作られるなど生産高のピークを迎え、本場奄美大島紬協同組合が発足しその品質を保証するようになりました。
現在では着物に使われるだけでではなく、洋服の生地やバッグなどの小物、ブックカバーやハンカチなど幅広い分野のテキスタイルに用いられています。

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