現代では、外出着のひとつとして色々なシーンで着られている大島紬は、気負わずにお洒落ができる着物です。
趣味の集まりや親しい友人とのお茶会のほか、観劇などで使われる着物の種類ですので、コーディネートのコツさえ分かれば誰にでも気軽な着こなしがしやすいです。
近年では、若年層のファッションにも着物は浸透しつつあり、ハットやブーツ、チュールスカートなどを取り入れてモダンに着こなすケースも増えていると言われています。
しかし、どんな帯を選んでどのように結べば良いのか、和装で持ってもおかしく見えないバッグはあるのか、カラーリングの合わせ方など、着物初心者の人には分からないこともたくさんあるでしょう。
このコラムでは、大島紬のコーディネートでお洒落に取り入れやすい帯の種類や結び方のほか、スタイルが良く見える羽織の合わせ方や、和洋風ファッションや現代風の着こなしにも使えるバッグなどの選び方を分かりやすく紹介します。
帯のコーディネート
柄が混み合っている大島紬をスッキリとコーディネートするには、カラーリングを抑えた帯を選択するとマッチしやすいです。
特に、白っぽい色は都会的な雰囲気になり、シンプルなデザインであればくどさが感じられません。
白をベースにした幾何学模様や無地のもの、差し色が欲しい時は白やベージュなどの地に、目立たない程度の差し色が入っているデザインなどが、コーディネートを都会的な雰囲気にします。
特にアンティーク風の大島紬は柄のデザインが特徴的なものが多いので、シンプルな帯を選択すると現代的な印象を受けやすいです。
また、華やかさや個性的な雰囲気な装いをしたいなら、色やカラーリングが美しい半幅帯をコーディネートするとお洒落感がアップします。
幅15cmの細さが半幅帯の特徴で、バリエーション豊かな結び方ができるため、若々しくオリジナリティーを感じられる装いになるでしょう。
可愛い印象にしたければ文庫結び、柄物の半幅帯ならカルタ結びなどもオリジナリティー溢れる着こなしにします。
特にカルタ結びは平面的で四角く仕上がる結び方ですので、モダンな印象になりやすいです。
ボウラーハットやベレー帽などを取り入れてカルタ結びで和洋ミックスコーデに仕上げたい場合は、小物類とカラーリングや柄のバランスを考えると失敗が少なくなります。
大島紬をすっきりとした都会的な印象にしたいのか、自由でオリジナリティーを感じられる印象にしたいのかで帯の色味や柄を合わせましょう。
羽織のコーディネート
身丈がやや長めの羽織りは、身長を高く見せる効果がありますので、背が低い女性でもスタイル良く見せられます。
例えば、鮮やかな青が印象的で涼し気な大島紬には、黒色の羽織をコーディネートすると、色のコントラストが明確になりスタイリッシュなコーディネートになります。
あえてシンプルな黒色を選択することで、着物のカラーリングが鮮やかに映え、爽やかな着こなしになりやすいです。
また、暗色だけでなく、華やかなピンクなどのカラーリングも地味な印象の着物にマッチします。
一般的に膨張して見えるカラーリングでも、着物では身丈の長さが目線を縦に移動させるので、細見えする装いになるでしょう。
例えば、屋久杉染めのブラウンが美しいモダンな大島紬にも、ピンク色が鮮やかな身丈が長いデザインを合わせれば、華やかな印象でありながら都会的なお洒落着になるでしょう。
屋久杉染めの柔かな茶系に春らしいピンクは、暖かなシーズンにマッチする装いです。
細い帯締めにリボン結びの帯留めをアレンジすることで、現代風でより女性らしさが際立つ大人可愛い雰囲気に仕上がります。
バッグなど小物のコーディネート
大島紬にコーディネートする小物類によって、和洋風の個性的な装いや、現代風のファッションにもできます。
落ち着いた場所に出かけるなら和装品の鞄で、ファッションを楽しむなら洋風のデザインをチョイスするなど、シーンによって使い分けをするのも大切です。
違和感なく合わせるコツは、小物のデザインに関係なく、着物か帯に使われているカラーリングと同系色のアイテムを合わせるのが良い方法でしょう。
茶系の大島紬にピンクベージュのハンドバッグや、濃紺がスタイリッシュな着物にブラックの艶が美しいクロコダイルレザーのボストンなどをコーディネートすると、シンプルで自然な和洋風の装いになります。
また、着物地を素材にしたショルダーバッグを取り入れるのも、特に男性のお洒落着に映えるファッションです。
柄は着物と小物で異なっても、やはり同系色でまとめるとスタイリッシュにまとめられます。
黒ぶちメガネやニットの羽織、ハットなどと併せるとよりモダンな印象になるでしょう。
白大島、泥大島のコーディネート
染め糸と白い糸でパターンを表現する白大島は明るく爽やかな雰囲気がある、近年では人気の大島紬です。
トレンドファッションを着物にも取り入れたいなら選択しやすい種類と言えます。
明るさを感じるホワイトカラーの魅力を活かすためのコーディネートは、同系色でまとめてシンプルに仕上げるのがコツです。
例えば、ホワイトにグレーのパターンが涼し気な白大島には、濃い灰色の地にホワイトの模様が控えめに入った帯をチョイスすると全体がぐっと引き締まり、女性的でスタイリッシュな印象になります。
帯締めもホワイト系にして、帯の模様と合わせることで美しいグラデーションが生まれるため、エレガントでお洒落な装いにできるだけでなく、誰にでも合わせやすいコーディネートと言えるでしょう。
また、暗色が美しい泥大島も現代風に着こなすことが可能です。
例えば、ブラックの地に藍色の大きめな幾何学模様が印象的なヴィンテージ物の泥大島は、モダンさを活かすためのコーディネートがマッチします。
ホワイトに藍色の四角いパターンが大胆なデザインの帯を合わせると、泥大島の暗色と模様が古臭く感じられず垢抜けて見える装いになるでしょう。
大島紬で現代的なモダンさを表現するには、やや大胆な発想で帯や小物類をチョイスすると良いです。
高級感を感じさせる装いや大人っぽい雰囲気にするなら、着物と同系色を帯などの差し色に選択するとシンプルなイメージになりやすく、誰にでも簡単におしゃれ感を出せるでしょう。